Grind 歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりの問題は、音だけではありません
自分の目で直接見ることができない「歯ぎしり」は、周囲の方に「音」を指摘されるまで、なかなか気づくことができません。ましてや外に音が出ない「食いしばり」状態であれば、生活の中で気づくことはほとんどなく、診療を通してお伝えしてもなかなか実感として信じていただけないのが現実です。
患者さまに、歯ぎしりや食いしばりを何とか気づいていただき、前向きに対策や治療をしてほしいと願う理由…、それは、歯ぎしりや食いしばりは「歯を失う大きなリスク」となるからです。歯を失う原因は、おおむね「むし歯」「歯周病」「力」の3つに分類されますが、歯ぎしりや食いしばりは、「力」によるリスクの代表的な症状です。
歯ぎしり・食いしばりによって引き起こされる症状例
歯ぎしりは、これらをはじめとする様々な症状を引き起こし、最終的には歯を失う結果に繋がりかねません。歯ぎしりの音を指摘された方や、ご友人やご家族と宿泊する際にご自身の歯ぎしりが気になる方はもちろん、起床時のあごの疲れ・痛み、むし歯とは異なる痛みなどに気づかれた時は、歯ぎしり・食いしばりの可能性も疑ってみてください。
歯ぎしり・食いしばりのリスクはマウスピースで軽減できます
歯ぎしりや食いしばりは誰もが就寝中に行う行為であり、根本的に無くすことはできません。まずはどの程度の歯ぎしり・食いしばりを行っているかを把握したうえで、マウスピースによる対策で歯への負担を軽減します。
歯ぎしり・食いしばり治療の流れ
① ブラックスチェッカーによる歯ぎしり・食いしばり診断
歯ぎしり・食いしばりの程度を診断するために、就寝時にシート(ブラックスチェッカー)を装着し、どの程度すり減っているかを診断します。
装着前と、それぞれ2晩装着した後の比較です。赤い色の削れによって、歯ぎしりの箇所と程度を確認できます。
② ナイトガード(マウスピース)の装着
就寝時に「ナイトガード」というマウスピースを装着することで、歯やあごにかかる負担を軽減します。また、歯ぎしりの音も軽減できます。
歯ぎしり・食いしばりは飲酒でも強くなる傾向があります
歯ぎしり・食いしばりの症状は、ストレスのほか、飲酒によっても強くあらわれることがあります。過敏性神経炎(歯ぎしり・食いしばりにより奥歯がしみる症状)にお悩みの患者さまの食いしばり状況をブラックスチェッカーで確かめたところ、飲酒量が多い日のほうが強い歯ぎしり・食いしばりの症状が見られました。
飲酒量が少ないときのブラックスチェッカーの状態(ブラックスチェッカー1枚目)
お酒が好きな患者さまが、2枚のブラックスチェッカーをそれぞれ2晩ずつ装着された結果です。
1枚目を装着された2晩は、両日とも缶ビールを1杯だけ飲酒されたとのことです。前歯、奥歯ともに少し赤い色が削れています。透明の土台フィルムは、穴が開くこともなく残っています。
飲酒量が多いときのブラックスチェッカーの状態(ブラックスチェッカー2枚目)
2枚目を装着された2晩のうち、1晩は缶ビールを1杯、もう1晩はビール、焼酎、ハイボールなどをかなり飲酒されたとのことです。1枚目に比べ赤い色の削れが強くなっているとともに、透明の土台フィルムも破れてしまっています。
歯ぎしり・食いしばりのお悩みを持つ患者さまは、ナイトガードの装着とともに、ストレスや飲酒量もコントロールし、力による歯への負担を軽減しましょう。
主訴 | 睡眠中の歯ぎしり、食いしばりが気になる。 |
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診断名・主な症状 | クレンチング、ブラキシズム |
年齢 | 40歳 |
性別 | 男性 |
治療詳細 | ナイトガード(スプリント法)装着 |
治療期間 | 1週間 |
治療回数 | 2回 |
費用 | 保険適用。約5,000円程度。 |
リスク・副作用 | ・コストがかかる。 ・使い始めは多少違和感あり。あごの痛み、口の渇きなどが生じる場合があります。 ・正しく使わないと歪んだり、細菌が繁殖したりすることもあります。 ・定期的なメンテナンスが必要です。 ・耐用年数に個人差があります。 |
・使用により発疹などの過敏症状が現れることがあります。その場合はすぐに使用を中止し、医師の診断を受けてください。